何も入れない選択肢もアリ?
歯を失った場合、どのような選択肢があるのか整理しておきましょう。
- 何もしない。(抜けたままにしておく。)
- 入れ歯にする。(自分で取り外しするもの。)
- 抜いた歯の前後を削ってブリッジにする。
- インプラントにする。
以上4つです。
選択肢の1番については、歯科医師によっては選択肢には入れないこともあります。
以前の私も、2~4番を患者さんに提示していました。
何もしなければ、周囲の歯が動いて全体としてバランスを崩すことがあるからです。
しかし、絶対に、周囲の歯が寄ってきたり、倒れてきたりして、かみ合わせが狂いだすのか?と言われると、何もせずに放置した場合でも、まったく問題なく経過する場合もあります。
特に一番奥の歯を失った場合、必ずしも、食事がすぐできなくなる訳ではありません。
また、途中の歯が抜けた場合でも、周囲の歯がほとんど変化しない場合もあります。食事することも一本抜けただけでは、そんなに食事に支障をきたさない場合もあります。
歯科医師の得意なやり方に誘導されることがある
歯科医師が患者さんに選択肢を示し、それぞれの長所と短所を説明するとき、その歯科医師が好む選択肢に誘導していくことがあります。
自信があり、今までの経験から「これしかない」と決めている場合は、それ以外の選択肢の短所を強調しがちになります。
こう書くと、不誠実に聞こえるかもしれませんが、決してそういうことではありません。
入れ歯が得意な歯科医師は、「インプラントなんてやめときぃ。高くつくで。」「ほんで、ブリッジなんかアカン、削らんでいい歯を削らなあかん。」「あんたには入れ歯が一番や、取り外しできるから衛生的やで」てな具合に説明するかもしれません。
その先生を信じていたら、入れ歯を入れることになるかもしれませんね。
それはそれでいいと思います。
短所がない選択肢はない
インプラントは大昔から、我々人類はチャレンジしてきたらしいです。
エジプト時代では、サファイアなどをあごの骨に植えたという記録があると聞きます。
しかし、実際にインプラントが骨にちゃんとくっついて、噛めるようになったのは半世紀弱くらい前からです。
今では、かなりシステマチックに処置を行うことができ、時間やお金の投資は必要ですが、うまくいけば快適な食生活を送ることができるでしょう。
ただ、歯科医師の中にはインプラント以外の選択肢に対して否定的になりすぎ、患者さんにインプラントしか勧めない人もいるようです。
あまりに押しの強い営業をされると逃げたくなりますよね。
こういう場合は、いったん別の歯科医師にそっとセカンドオピニオンを聞きに行きましょう。他の選択肢の長所も聞いて、インプラントの欠点も理解してください。
そのうえで、やはりインプラントということになれば、最初の歯科医院に戻って施術を受けましょう。きっとその先生はインプラントが好きで得意なはずです。提案の仕方が下手なだけです。
どの選択肢でも、慣れてしまえば大丈夫
こう書いてしまうと、なんや、しょうもな。ってことになりますが、現実としてはそうなんです。
様々な患者さんの中に、いろいろな治療がしてあります。
入れ歯は出し入れが、めんどくさいように思いますが、入れ歯で何でも食べてハッピーな人もたくさんいます。
ブリッジは失った歯が本来受ける力を前後の歯に負担をさせるので、寿命が短いと言われますが、20年、30年と快適に使っていらっしゃる患者さんもいます。
歯が欠けたり、むし歯になったりして、結局上下のあごには、歯の根っこだけ残った方が、入れ歯もブリッジも入れずに、根っこの歯で、なんでも召し上がっている様子を高齢者施設で拝見したことがあります。施設スタッフは、入れ歯を入れなければと考えておられたようですが、まぁ、何もせんでもいいと思います。
また、入れ歯にして苦労していた方が、思い切ってインプラントすることで、なんでも食べることができるようになったと喜んでいる方がいらっしゃいます。
ということは・・・・
選択した方法で、おいしく食事ができれば、それでいい。
という結論です。