口の粘膜は唾液で濡れていて、保護されています。
唾液は一日に1.5リットルほど分泌され、口の中を自動洗浄しています。唾液の分泌量が少なくなるのは、夜間睡眠中や、日中でも緊張している時です。
生活リズムが乱れても、唾液分泌は落ちます。
口の乾きを感じるとき、水分補給しても、口が潤うワケではないです。
唾液を出すところは、唾液腺(だえきせん)というところで、意識して唾液を出そうとしても出ません。
「おいしそう」と思ったとき、深い呼吸をしてリラックスしているときなどに、唾液腺が唾液を外に出します。
しかし、心配事をしていたりすると緊張状態になって唾液はすぐに出なくなります。
唾液分泌が悪くなっている方は、「唾液が出ない」と訴えることはまずありません。
「家族に口が臭いと言われた」
「舌がヒリヒリする。」
「歯ぐきから出血する」
「歯が尖って感じる」
とおっしゃることが多いです。
逆に、このようなことを訴える患者さんを診察するときは、粘膜の「ぬれ」をチェックします。
歯科医師が使う、丸い小さな鏡が付いている器具で頬の粘膜を滑らせます。しっかり唾液が出ていれば、この器具がスムースに粘膜の上を滑りますが、少し乾きがあると、ひっかかりを感じます。
唾液分泌がほとんど出ていない患者さんでは、この器具が全く滑らず、動きません。
また、口の中の粘膜に泡が見られると、乾いていると判断します。
乾いていると判断した患者さんには問診して、乾いている原因を探ります。
- 飲んでいるクスリの情報
- 日常生活のリズムが乱れていないか
- 家庭、仕事や学校での心配事がないか
患者さんにインタビューしている中で唾液腺の働きが低下している原因が推定できれば、自分の見立てを伝えて、対策を講じることができれば、やってもらいます。
クスリの中でも、寝る前に、眠りやすくするものは、乾きやすくなります。
鼻水を止めるクスリなども唾液も止めてしまいます。
生活リズムに関しては、夜更かしが続いていたり、朝早い日が続いていたりして、十分な睡眠が取れていない場合なども、唾液が少なくなります。
また、課題のしめきりに追われている学生さんでも精神的な緊張が慢性的になって、口の臭いが気になってきたりします。
結局、乾きを改善するためには、あまり緊張をし続けず、決まった時間に寝て、決めた時間に起きる。
ということくらいしか、助言することはありません。